歯周病治療
悪化すると
歯が抜け落ちる怖い病気
歯周病の症状は歯ぐきの腫れや出血が知られていると思いますが、悪化すると歯を支えている歯槽骨が溶かされて、歯が抜け落ちることもあります。また、歯周病は日本人が歯を失う原因のトップですし、日本の大人は8割以上も発症していると言われていますから、誰にとっても他人事ではない疾患です。
当院の歯周病治療の特徴
日本歯周病学会認定医による
歯の保存を目指した
専門性の高い治療
日本歯周病学会認定医とは、日本歯周病学会が認定する歯周病の専門資格で、歯周病の治療技術や知識の試験に合格した歯科医師にのみ授与されます。より専門的な知識・技術を持って重症化した歯周病にも対応しています。
日本歯周病学会とは
歯周病を克服することにより自分の歯を1本でも多く残すことを目的に1957年に設立された団体です。日本の歯科医師数は107,443人いますが(2022年厚生労働省調べ)、歯周病認定医は1,193名と約100人に1人の割合となっています。
歯周病と全身疾患の関係
歯周病があると歯を失うだけでなく、全身の健康に悪影響が及びます。歯周病になって炎症が増えると糖尿病のコントロールがしにくくなりますし、血管に侵入した歯周病菌は血栓を作るので、心筋梗塞や脳梗塞の危険性も増します。また、誤嚥性肺炎や認知症、早産や低体重児出産のリスクを高めることも報告されています。
歯周病が引き起こす様々な疾患
- 糖尿病
- 肥満
- 早産・低体重児出産
- 認知症
- 動脈硬化(心筋梗塞、脳梗塞)
- 誤嚥性肺炎肺炎
歯周病の進行度と治療方法
歯周病は歯茎が赤く腫れる程度の「歯肉炎」から始まり、初めのうちは痛みもないため放置する方が多いですが、歯ぐきやあごの骨(歯槽骨)などの歯周組織を破壊しながら「歯周炎」へと進行します。
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Flow01歯肉炎
歯肉炎になると、歯ぐきが炎症を起こし、部分的に腫れるようになります。この段階で速やかに治療を受け、歯に付着した歯垢や歯石を除去し、正しいブラッシングを心がけると、炎症が改善します。
この段階での治療
この段階であれば、毎日の丁寧な歯磨きで治る場合もあります。しかし、歯石などが付着している場合は、セルフケアでは除去できません。歯科医院で歯石除去や歯のクリーニング(PMTC)を受けるようにしましょう。
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Flow02軽度歯周炎
歯ブラシのわずかな刺激でも、歯ぐきから出血するのが特徴です。歯周ポケットは深くなり、歯と歯の間にも隙間が生まれることで、歯石も増えてきます。結果的により歯周病が進行しやすくなるのです。
この段階での治療
歯磨き指導に加えて歯石除去(スケーリング)治療をします。歯の表面だけでなく、歯周ポケット内の歯垢・歯石を除去していきます。
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Flow03中等度歯周炎
歯槽骨の破壊が進んでいる状態です。歯周ポケットが非常に深く、歯根の周辺には「歯肉縁下歯石」という、血液を含んだ茶色い歯石が付着していることもあります。歯ぐきの知覚過敏により、痛みやしみるなどの自覚症状が強くあらわれます。
この段階での治療
中度歯周炎の場合、SRP(スケーリング・ルートプレーニング)と呼ばれる方法で、歯茎の中の歯の根っこの部分についた歯石を取ります。歯の根元にまで歯石が付着している場合は、「フラップ手術」といった外科的処置で歯肉を切開して歯石除去が必要なケースもあります。
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Flow04重度歯周炎
歯槽骨の大部分がすでに失われています。歯を支えること自体が困難になり、抜けてしまう可能性がある状態です。また、歯根に膿が溜まっている場合は、口臭がひどくなる原因にもなります。
この段階での治療
歯周ポケットの根元まで歯石が溜まっている場合は外科的な治療「フラップ手術」が必要となります。しかし、外科処置を行っても歯石の除去が出来ない場合などは抜歯となる可能性があります。ただし、エムドゲインという薬剤を用いて歯周組織の再生を誘導し、歯周組織を回復できる場合もあります。
中等度〜重度歯周病のための
「歯周組織再生療法」
歯周組織再生療法は、歯を支える骨や歯肉を回復させることで、抜歯をせず歯を残せる治療方法です。リグロスやエムドゲインという歯周組織再生誘導材料で歯周組織の再生を促します。これらの材料を利用することで、歯周病によって溶けてしまった骨をある程度復元することが可能です。
Meritメリット
- 成功すれば、入れ歯やインプラントなどではなく、自分自身の歯を使い続けることができます
- 合併症を誘発するリスクが少ないとされます
- 多くの骨を再生することができ、歯周ポケットを浅くすることに効果があるとされます
Demeritデメリット
- 保険適用外の治療となります
- 全ての症例が適応となるわけではありません
- 適応となった場合も、骨が再生される量には個人差があります
- 骨の再生には時間が必要です
手遅れにならないよう
早めの受診を
歯周病は初期に自覚症状が無いので悪化してから気づく人が多い疾患です。また、歯ぐきの腫れや出血などの自覚症状が出始めて治療の必要を感じても、痛みが無いので先送りしてしまう人も少なくありません。しかし歯周病を放置すると、次第に歯を支える骨がダメージを受けて歯を失う要因となります。また歯周病菌は脳や心臓に関連して生命を脅かすこともあります。手遅れにならないように、ぜひ治療や予防に取り組みましょう。