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歯肉退縮の治療 広島歯周治療
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今回は矯正後の犬歯の歯肉退縮(歯茎さがり)が気になるとのことで来院されました。
歯肉退縮は自然に治癒することはないので当院での治療を希望されました。
成人期以降の矯正治療は矯正歯科医でさえ歯茎下りの予見が難しく、この様なリスクと隣り合わせです。当院は矯正歯科と連携してこの様な疾患にも対応することが多いので、お困りの際はぜひご相談ください。
歯肉退縮の治療はさまざまな方法がありますが今回はZucchelli先生の考案したCAF(Coronally advanced flap)という技法を用いて行いました。
Coronally advanced flap: a modified surgical approach for isolated recession-type defects: Three-year results M. De Sanctis, G. Zucch
上に論文を貼り付けているので興味のある人はご覧ください。↑
下は動画です↓この様に素晴らしいコンテンツが世界中どこでも見られる時代になったことは、本当に素晴らしいことだと思います。
自分は外科手技のほとんどを、論文とこの様な動画で習得してきていますので、非常にコスパよく学んできていると感じています。
もちろん日本での勉強会にも参加しますが、そこでは論文や動画ではわからない小さいけど重要なメソッドを学ぶという感覚で行っています。
このCAFという技法は日常的に歯周外科を行なっている先生であれば誰でも比較的簡単にできるものですので世界中で重宝されています。ただ歯肉に縦切開を加えるので瘢痕が残ることがありますので、前歯の1番や2番に行う審美症例での使用は慎重に検討するべきです。
簡易なオペではありますが、治療技術の精度により歯肉の戻り方に違いが出ますので、マイクロスコープを用いて慎重に行なっていきます。
以下にオペの流れを簡単に説明します
これが治療前の犬歯の状態です。かなり歯肉が退縮しており歯根露出していることがわかるとおこいます。
歯根が露出したままの状態ですと知覚過敏症状が出たり、茶色くなって審美的に問題があったりで多くの場合コンポジットレジンが充填してあることが多いのでオペ前にはまずそれを確実に除去します。歯根表面をきちんと出しておくことは治療の成功に大きく影響します。
この赤く塗ってある部分がコンポジットレジンが充填してあったところです。しっかりと除去します。
オペ開始
充填材料が取り切れたことを確認した後に、慎重に切開していきます。ここからのパートは部分層弁と全層弁での剥離など細かく切り分けていかなければいけません。詳細を知りたい方は上に貼り付けてある論文や動画をぜひご覧になってみてください。
歯肉の剥離です
ここで大事なことは歯肉弁にダメージを与えず行うことです。ここがこのオペのキーポイントであるとも言えます。歯肉をピンセットで摘むなどの行為はNGです。ここは経験の差が出るところです。
上顎から歯肉の採取です
上顎から自分の健康な組織をとってきて犬歯の歯肉が退縮したところに移植します。ここからは縫合までスピード勝負です。
移植片は採取したらできるだけ早く移植したほうがいいです。
縫合(術後)
術後です。歯根をカバーしたい部分よりも、少しオーバーぎみに持ってきて縫合することが大事です。あとは患者さんができるだけ安静にすることで治癒していきます。
オペ1年後
しっかりと治癒していることがわかります。
患者さんもお疲れ様でした。満足いただける結果ができて、こちらも嬉しい限りです。